うちの園、保育士の配置基準がおかしい気がする…。
そもそも配置基準の設定数がおかしくない?
配置基準とは厚生労働省管轄の法律で定められている「保育士1人に対して、対応可能な子どもの人数を年齢別に定めた基準」のこと。子どもの安全や保育サービスの質を確保するために、最低限必要な保育士の数として定められた基準です。
働いていると「保育士が足りていないのでは…?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。配置基準に当てはめて考えようとしても子どもの人数が園によって異なるため、どのように計算すればいいのかわからない方もいるはずです。
そこで今回は保育士の配置基準の基礎知識を抑えつつ、保育士不足かどうかを簡単に判断できる計算方法を解説します。配置基準の理解を深め、今後の勤務や就職・転職する際の参考にしてください。
日本の保育士配置基準がおかしい現実
まず保育士の配置基準とは、厚生労働省管轄の法律で定められている「保育士1人に対して、対応可能な子どもの人数を年齢別に定めた基準」のことですが、日本の設定基準は以下のとおりです。
- 0歳児:子ども3人に対して保育士1人
- 1歳児:子ども6人に対し保育士1人
- 2歳児:子ども6人に対し保育士1人
- 3歳児:子ども20人に対し保育士1人
- 4歳児以上:子ども30人に対し保育士1人
※自治体独自の規定や保育施設の種類によって配置基準に変動あり。
現場の保育士からは「この基準はあまりにも低すぎる…。」といった不満の声が後を絶ちません。
配置基準は「子どもの安全」と「保育の質」の確保を目的として定められたものですが、子どもの対人数は保育士が1人で見切れるほどの割合とは言えないでしょう。
例えば、4歳児以上クラスは保育士1人に対して子どもの数が30人です。保育士は「ひとりひとりの子どもを尊重した保育」が求められていますが、対応すべき人数が多いため丁寧に子どもと向き合えないときもあるでしょう。
0歳児の場合は保育士が1人に対して子どもが3人。ひと時も目を離せないうえ、いつ寝て・いつ泣き出すかわからない0歳児を1人で見るのは想像以上の苦労がかかっているはずです。
また保育士の配置基準の低さは子どもの安全確保の難しさにも直結。
以下は、内閣府調査の「教育・保育施設等における事故報告集計」を年度別に表したグラフです。
教育・保育施設での子どもの事故は年々増加傾向にあります。その原因の一つに、保育士の配置基準の低さゆえの人手不足が関係しているでしょう。
保育園は以前より多くの対応・サービスを求められるようになり、保育士の負担が増えているのが現象。さらに新型コロナウィルスの拡大により、職員の対応業務が増加しました。
ますます、ゆとりのある保育ができない状況になってきているでしょう。
保育士配置基準のおかしさを調べる計算方法
うちの園、その配置基準さえ守ってない気がする…。
次に、自分の保育園が保育士の配置基準を満たしているかどうかを調べられる方法を3ステップで紹介します。
各園の定員数に応じて計算ができるので、自分の保育園の配置基準が守られているかどうかを1度ぜひ確かめてみてください。
STEP1:地域の配置基準を確認する
まずは、計算式に必要な地域独自で定めた配置基準を確認しましょう。子どもの安全確保や保育サービスの維持・向上などを目的として、国の基準よりも多い独自の配置基準を定めている地域もあります。
例えば、以下は東京都武蔵野市独自の配置基準。1歳児・3歳児・4歳児の配置基準が国の基準を上回っているのがわかります。
以降で紹介する計算式には地域独自の配置基準を優先してください。ない場合は、国で定めた保育士の配置基準を活用すれば大丈夫です。
STEP2:園児の定員を確認する
次に、自分が勤める保育園の園児定員数を確認してください。こちらも計算式に必要な情報です。
ここでは、合計120人定員の保育園を仮定します。
【各クラスの定員】
- 0歳児:9人
- 1歳児:18人
- 2歳児:23人
- 3歳児:23人
- 4歳児:23人
- 5歳児:24人
STEP3:各クラスの定員数を配置基準で割る
続いて、各クラスの定員数を配置基準で割っていきましょう。ここで年齢ごとに必要な保育士の人数が割り出せます。
先ほど仮定した合計120人定員の保育園を「国の配置基準」「武蔵野市独自の配置基準」のケースに当てはめると、計算式は以下のとおり。
【ケース①国の配置基準】
クラス | 計算式 | 必要な保育士の数 |
0歳児 | 7人÷3=2.33 | 3人 |
1歳児 | 18人÷6=3 | 3人 |
2歳児 | 20人÷6=3.33 | 4人 |
3歳児 | 20人÷20=1 | 1人 |
4歳児 | 23人÷30=0.76 | 1人 |
5歳児 | 25人÷30=0.83 | 1人 |
【ケース②武蔵野市独自の配置基準】
クラス | 計算式 | 必要な保育士の数 |
0歳児 | 7人÷3=2.33 | 3人 |
1歳児 | 18人÷5=3.6 | 4人 |
2歳児 | 20人÷6=3.33 | 4人 |
3歳児 | 20人÷15=1.33 | 2人 |
4歳児 | 23人÷28=0.82 | 1人 |
5歳児 | 25人÷30=0.83 | 1人 |
以上が、保育士配置基準の計算方法でした。
ここで割り出された結果は、あくまで日中保育に必要な保育士の数です。
休憩や有給消化を円滑に回すには、+αの職員が必要になるケースがほとんどでしょう。
また朝夕の延長保育などの特別配置が必要な場合にも、必要に応じて保育士または国から許可が降りている子育て支援員や幼稚園教諭・小学校教諭の資格保有者を追加しなくてはいけません。
保育士の配置基準がおかしい園はどうなるの?
なお、基準を満たしているかどうかは、国が実施している指導監査で定期的に調査しており、保育士の配置基準を満たさない園は処罰の対象となります。
違反が発覚した保育園には基本的には段階を踏んで指導を実施。改善がみられない園は、最終的に「事業停止命令」「認可取消し」という重い処分がくだされます。
もし虐待の恐れなど早急に対応が必要なときは、直ちに「事業停止命令」「認可取消し」になる可能性も…。
保育士の配置基準は子どもの命に直結することなので、厳しい処罰があるのは当たり前と言えるでしょう。
もし保育士の配置基準がおかしいなら転職するのもあり!
計算してみたら保育士の配置基準が満たされてなかった…。
もし勤めている施設が保育士の配置基準を守らず、改善する様子も見られないなら転職を検討するのもありです!
万が一、人員不足による子どもの怪我や事故が起きてしまったら、取り返しのつかないことになりかねません。最悪の場合、あなたの保育士生命が失われる可能性もあるでしょう。
リスクが伴いやすい職場で働くよりも、法的にクリーンで働く環境がしっかりと整った保育園で働くほうが身のためです。
なお、他の保育園に転職をするなら保育士の転職エージェントを活用するのがおすすめ。
【転職エージェントとは】
求人先と利用者(あなた)の間に、担当者が入って転職の支援をしてくれる会社。サービス内容は、面接の対策や日程調整、履歴書の添削、条件交渉などと豊富で、利用者の転職活動が完了するまでをフルサポートしてくれる。
転職エージェントを活用すれば、1人だと難しい転職活動をスムーズに進められるほか、あなたにあった求人を紹介してくれます。
数ある保育士エージェントのなかで、特にイチオシなのが「マイナビ保育」。
求人数 ※2022年8月22日現在 | 2万1,213件 |
対応エリア | 全国(47都道府県) |
サポート内容 | ・履歴書や自己PRの書き方のサポート ・面接日時の調整 ・面接対策 ・条件交渉 ・入社後のアフターフォロー など |
運営会社 | 株式会社マイナビ |
公式サイト | マイナビ保育 |
マイナビ保育士は求人の質に徹底的にこだわっており、アドバイザー自ら担当エリアの園や施設に足を運んで職場環境のチェックを行っています。保育士配置基準が守られているかの確認はもちろん、人員にゆとりがあるかどうかの一歩踏み込んだ情報も教えてもらえるでしょう。
「人数に余裕のある保育園で働きたい…。」と考えている方はぜひ「マイナビ保育」へご相談してみてください。
まとめ:保育士の配置基準がおかしいのは絶対にNG
以上、保育士の配置基準は子どもの安全と保育の質を守るために必要な最低限の保育士の数でした。実際のところ「設定基準があまりにも低すぎる」というのが現場の声でしょう。
この基準さえも守らない保育園は、危機管理能力が著しく乏しいと言えます。
法律にも反しており、信頼できる職場とは断じて言えないでしょう。
「少しでも余裕のある働き方がしたい。」「法的にクリーンな保育園で働きたい。」という人は、転職するのもアリです。
保育士エージェントなら今のあなたの悩みに寄り添って、最適な求人を紹介してくれるはず!相談無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。